カーボンファイバー強化樹脂フィラメント

CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)というと航空機や高級車で使われていて、軽いのに金属のアルミ並に強い樹脂ってイメージがあります。織り込んだ繊維の模様が特徴的です。量産用に使用している基材の樹脂はエポキシ系が主流で、3Dプリンタで使われる熱可塑性樹脂を基材にしたCFRPというのはまだ試作段階という状況のようです。
carbon-fiber

XT-CF20という樹脂は、2015年の2月にオランダのColorfabb社が発表したもので、後で述べるXTという熱可塑性樹脂を20%のカーボンファイバーで強化した樹脂フィラメントです。強化したといっても繊維長がとっても短いので、強度は一般的なPLAの2倍程度になるだけのようです。実際に同じものを作成すると硬くなっているのはわかりますが、アルミとは比ぶべくもありません。それでも、ABSやPLAでは強度面で足りなかった用途に使えることから、3Dプリンタの適用範囲が広がったのは喜ばしいことです。
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次の写真は、Thingiverseで有名なTreefrog(アマガエル)モデルをプリントしたものです。表面がマットな感じに仕上がります。
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このXT-CF20以外に、高温対応のPLA(HTPLA)を基材にしたProtoPastaのHTPLA-Carbon firberもあります。こちらはカーボン含有量は15%で、プリント後に110℃のオーブンで1時間以上熱処理すると120℃以上の耐熱性を発揮するそうなので、XT-CF20の耐熱性(80℃)では足りない場合に使えます。後の熱処理が面倒でしたが、プリント条件はXT-CF20よりもこちらの方が設定がしやすかったです。

また、長繊維を別系統で送り出す機構を持ったユニークな3DプリンターがアメリカMarkForged社から出ています。これでプリントしたファイバー強化ナイロンはアルミのA6061よりも強度が高かったとあります
Markforged CFRP test results
日本でも呉高専の山脇教授が開発中のものや、理科大、日大、JAXAなどが共同でロケットなどで使えるCFRP用のプリンタを開発しているなどの動きがあります。

Colorfabb社のXTフィラメントとは
Colorfabb社がアンフォラ樹脂(イーストマン社が開発)をベースに開発したCHDM(シクロヘキサンジメタノール)を共重合したPET樹脂(PETG:グリコール変性PET)です。この樹脂の特長はABS樹脂のもつ耐熱性、耐久性に優れ、粘りがあり加工性の良さと、PLA樹脂の持つ強固さと造形精度の良さの二つの強みを併せ持っていることです。

ノズルの削れ問題
XT-CF20は硬いファイバーが含有されているため、3Dプリンタで使われている一般的な真鍮のノズルでは内部が削れてしまい、およそ100g程度から仕上がりが悪くなってきます。ステンレスノズルにすることで内部の削れによる仕上がりへの影響はなくなりましたが、2リール目(750g以上)になると、やはり仕上がりに影響してきていました。
長期間このフィラメントに対応させるノズルをイギリスE3D社が2015年9月に発表しました。硬い焼入鋼を使っていますので、数リール使った後でも仕上がりへの影響はみられていません。
E3D社以外ではスイスMicro swiss社から真鍮にニッケル複合めっきしたTwinClad XTノズルが発売されています。こちらはまだそれほど使っていませんが、ベースの熱伝導がいいこと、滑らかな表面を有することから、削れの問題が早期に出てこなければ副作用の少ないノズルではないかと思います。